アラフォー新米父の考え事

子供の事、趣味の事、仕事の事、、、その日その時の徒然

サヨナラの支度

2020年7月7日七夕の朝、私の電話が鳴った。母からだ。

祖父の血圧が60台まで下がったらしい。

齢95の祖父は大分体が衰え

最近では殆どベットから起き上がる事が無いとは聞いていたが、

そろそろ覚悟をする時になってきたのかもしれない。

 

医者の話ではこの血圧であれば、今日明日中になくなる可能性が高く、

もし今日明日を乗り越えたとしても、8月は迎えられないだろうとの事らしい。

 

1月ほど前からいつ亡くなってもおかしくは無いと医者には言われており、

息子が生まれたことを話しに行きたかったのだが、

新型コロナウィルスの影響でずっと見舞いに行けていなかった。

ただこのタイミングで見舞いに行かないともう二度と話ができないかもしれない、

そう思い祖父の見舞いに行くことにした。

 

午後休みを貰って祖父の家に向かう。

着いて寝室を覗くと祖父がベットの上で眠っている。

その鼻には酸素の管が入っていた。

起きるのを待つ間、祖母に息子の写真を見せ話をして過ごす。

祖母も大分痴呆が進んでおり、

何度も同じことを繰り返すがひ孫の様子に喜んでくれていた。

 

祖父が少し起きた様なので寝室で写真を見せる。

一言二言交わすと疲れて眠ってしまったが、

それでも状況を伝えることはできた。

世話をしている母によると祖父の記憶もだいぶ短く、

あまり覚えていられないようだ。

それでもひ孫の姿を見て喜んでくれたし、

その様子を見て私は義務を1つ遂行できたと感じた。

 

もう、この段階での会話は死にゆく祖父の為に何かをしたいというより、

この世に残る私達が祖父に何もできなかったという思いを残さないために行うことなのかもしれない。

 

帰りがけまた話に来るからねと声を掛けて祖父の家を出たが、

恐らくはきちんと意識がある時に合う事ができる事はもう無いであろう。

その覚悟で今日はサヨナラの支度をしにきたのだから。

 

家に帰り息子を風呂に入れている時に、

子供の無邪気な笑顔を見て少し泣いた。